TL;DR
実家を売り払い、僕が住む滋賀県大津市に両親も移住しました。
両親だけが住む実家、どうしていくか
僕は2人兄弟の長男。僕は滋賀県大津市に住んでおり、弟は東京に住んでいる。お互い家族があり、仕事もある。そして両親は実家である愛知県一宮市に住んでいる。
“部屋空いてるんだし、帰ってきてここに住んだらいいでしょ”
これは母がよく言っていた言葉。
高校生までずっと過ごした場所だから思い出はたくさんある。が、こだわる気持ちはないし、こだわる理由も僕視点ではなかった。だから母のこの言葉に対してはいつも軽く流していた。
そして、結婚して、子供ができた。両親は元気とはいえ父は70歳。
時間はかかるだろうから、今のうちに方針決めた方がいいな、ということで、話し合いを始めることにした。
長い話し合いのはじまり
はじめて今後のことについて話をはじめたのはおそらく娘がまだお腹の中にいる頃だと思う。
"今後のことどう考えてるの?家のこととか。お金のこととか。”
どう話を切り出したかは忘れた。たしかLINEで一度話そう、と切り出して、それから電話で話したと思う。娘は2022年5月生まれで、ちょうど妊娠しているころはいろいろと緩和されてきた頃とはいえ妊娠している奥さんに何かあるとよくないね、ということで直接会うことは控えてた時期だからそのはず。2021年の年末か2022年はじめの頃だろう。
はじめての話し合いの場では、さすがに両親も何をどこまで話すべきか整理できておらず、話そのものは全く進まなかった。ちなみに初回の話し合いは弟不在でとりあえず僕と父母の3人だけでした。
ただ、こういう話が必要だよね、ということだけは認識合わせができた。僕の方もそれでいいとはじめから考えていたからそれでよかった。
その後は弟も交えて4人で話をして、今後こういう話をしていくから、ということで認識合わせをした。弟は
"兄ちゃんに任せるよ"
と言った。
出だしは好調、その後は停滞
順調に進みそうだな、と思っていたが、そこからしばらくは全く進捗はなかった。
以下は2022年4月に書いた話し合いの際に利用したメモ書き。両親が決めかねるのもよくわかるが、選択肢は多くはない。どんな選択肢があるかを箇条書きにした。我ながら鬼畜。
1. 実家を売る
1-1. 一宮に住む(実家が高齢では住みにくいことを考えての選択肢)・駅前のマンション or 賃貸に住む
・高齢者施設
1-2. 大津に住む(僕のいる街)・駅前のマンション or 賃貸に住む
・高齢者施設
1-3. 東京に住む(弟のいる街)
・高齢者施設・駅前のマンション or 賃貸に住む
2. 実家を売らない
基本的には父と母の選択を尊重することで進めていた。長く住んできた街を離れること、高齢になってから新しい街に住み替えすることの負担は相当なことは容易に想像できる。だから両親の意向を優先することにしていた。
しかしここから2年ほど全く進捗はなかった。定期的に電話で話したり、直接会ったときに話をしていた。
僕:"こういうマンションなら2人で住めると思うよ。ここならうちも近いし、いつでも行き来できるし。"
父:"良さそうだね。"
僕の家に父と母が来た時には近所を一緒に見てまわりながらそういった話も何度かした。父と母が僕の住んでる街のことをよく思っていることはわかっていた。それでも決断は難しい。よくわかる。
"長期戦になることはわかっていたけど、そろそろ結論出さないとな"
僕も少し焦り始めていた。
父の決断
2024年3月。夜に両親と僕の3人で話をした。その話し合いが終わって、父から以下のようにLINEがあった。話し合いの場でも口頭で伝えてくれたが、改めて実家を処分して、僕が住む近くへ引っ越しをする旨の連絡がだった。
長いメッセージの一部で、もろもろ割愛してある。他には今後の生活のことや弟家族とのこともろもろが書かれていた。
時間はかかったがお互いに必要な時間だったように今振り返るとそう思う。
決断から引越しまではあっという間だった(幸運が重なったことによる)
父の決断から引越しまでは早かった。
もちろん実家の売却と新しい家の購入は簡単ではなかった。その詳細は割愛するが、いろいろなタイミングがうまいこと重なって実家の売却と新しいマンションの購入がうまく進んだ。
これについては本当に運がよかったと思っている。父がまだ元気でいろいろ自分で的確に判断できることが大きかった。僕だけだともっと時間がかかった。
ちなみに、実家を売却する前に弟家族も含めみんなで実家に集まった。その時に書いた記事が以下。最後に地元らしい時間を過ごせたことはとても良かった。
おわりに
そんなわけで今月この長きにわたる両親の今後どうしていくか問題は、実家の売却と両親の新居への引越しという形で終わった。長かった。
実家の売却と両親の新居(僕の家から歩いてすぐのマンション)への引っ越しが本日で完了。初回の話し合いから数えると3年ほどかかった。長かったし疲れたけどまあうまく進んでよかった。
— Masayuki Tanaka / 田中 優之 (@masayuki5160) 2024年10月1日
ネット上でも同じような話題は多い。いくつかのブログや記事は参考にさせてもらった。それを見ながら大変さはわかっていたから、無理に進めず時間をかけながら進めることは意識していた。
結果的にうまくいったわけだが、正直たまたまだと思っている。もう一度してくれと言われてもできる気はしない。
ちなみに僕のケースに限ってのアドバイスは以下だ。
- 焦らず時間をしっかりかけること
- 両親が元気なうちに進めること
- 両親の自尊心も尊重すること
1点目と2点目は文字通りなので説明が不要だと思う。
3点目について、これは僕の考慮が若干不足していたことによる気づきからのアドバイス。具体的には、僕のケースにおいては両親の引越し先を決める際にポイントとなった。金銭的なことも考え、中古のマンションで良いと無意識にそういった方向でさまざま物件を一緒に見ていたが、色良い返事は主に父からはなかった。
そんな中、きっかけは忘れたが新築マンションを一緒に見に行く機会を設けたところ、話がとんとん拍子に進み出した。実家を売却しつつ、新居の購入と引っ越しをするので、新築の方が色々と話を進めやすいのはあるが、"ある程度良いところに住みたい"、という両親の思いをもう少し考慮できてなかった僕に落ち度はあるなと反省した。
家を売る、家を買う、というテクニカルな話は専門家に任せれば良いので僕は言及しない。
というか、どっちかというと本質的にはそこよりは家族関係とか、どう生きたいか、とかそういう大事なことを話すことができるか、ということによると今回の経験を通して思う。
資産家であればこういう資産というかお金の話はちゃんと家庭で教育していくんだろうと思う。けど、一般家庭においてはお金の話は特に僕の親世代とか中心にタブーな雰囲気はある。そういう中でその考えも尊重しつつ、丁寧に議論を重ねることが何かしらの結論を出すために大事なんだろ思った。我が家の場合は3年近くの時間を要した。
うちと同じような悩みを持つ方は多いと思う。こうすれば良い、という簡単なアドバイスはできない。それでも、今後日本において僕と同じようなことで悩む人はより増えてくると思う。だから、今回の僕の経験がどなたかの参考になれば嬉しい。おわり。
↑娘氏と両親が近所で散歩している様子