ふと面白そうだなと思って、著者の方のことを知らず本書を手に取った。タイトルを見ながら、まあそうだよな、となんとなく中身を想像できたんだが、それでも楽しく読めた。
読後の感想としては、文章を書くことに苦手意識のある方にはおすすめできる本だな、ということ。
ただ、気をつけた方がいいことがある。手始めにこの本を手に取って文章を書くことに対するリミッターを外したとして、その後はコンテキストに応じた言語化をするよう気をつけた方がいい、ということ。ブロガー視点での文章の書き方がベースになると、危険なこともあるから、というイメージ。著者の主張は全体的に賛成できるが、この点だけはこの本を読んでそのまま進むとまずいことになる人もいそうだな、という印象を受けた。それでも文章を書くことに苦手意識がある方にはお勧めできる本であることは間違いない。
本書を読んでて一番面白かったのは秋元康さんの話。引用します。
秋元康ほど「言葉」を自在に操れる人間はいない。 あの男は何がすごいのか。それは「キモさのリミッターが解除されている」の一点に尽きます。銀河ギリギリ!! ぶっちぎりのキモい奴が秋元康なのです。
本書ではいくつか秋元康さんの書いた歌詞を引用してそのキモさを説明している。
曲はいくつか聞いたことがあるが、はじめてまじまじとその文章を見てみると、著者のいうことはよくわかる。リミッター外れてる。
気持ちや感動を言葉にすることを説明する際に、そのリミッターを外すことの説明をするにはこれ以上ない説得力だ。なるほどだった。
作詞に限らず、人は文章を書くときに「ここのフレーズダサいかな……」「ちょっと押しつけがましいかな……」「これはさすがに気持ち悪いだろ……」と無意識に「良い方」を選んでいます。
好き勝手に書いているようでいて、実は使える言葉は限られており、どこかで絶対にブレーキがかかってしまう。
"田中くんは文章書けるもんね"
これは大学の学部生時代に研究室で先生に言われたこと。おそらく僕が書いてた卒論の草稿をちらっとレビューしてくれて、ふとした時に話をしていてのフィードバックだったと思う。
"へーそうなんだ"
と当時の僕は思った。まあ先生の言葉をいまだに覚えている、ということは嬉しかったんだろうなその時。
今振り返ると、そのきっかけはブログで何か文章を書くことをよくしていたことが関係していると思う。著者の言葉を借りれば、本気かどうかはわからないが文章について考えていた時間が多少あったことによる結果だろう。当時はなかなか思ったように書けず苦労していたが、その経験が今に生きている。
「文章について本気出して考えた時間の量」本書では、「文章力」をこのように定義しています。
僕らは文章を書くことからは逃げられない。LINEでのやり取りもそうだし、仕事でもそうだ。文章は書く。
社会に出て、自分が文章を書けなさすぎて悩む人もいるだろう。そういった方には本書を読みつつ、ブログで思いを言葉にするトレーニングをすることをおすすめする。
思いは言葉に、とはてなブログでうたってるが、思いを言葉にする行為の繰り返しによって、やがてそれが文章力になる、ていうのが著者の主張だろう。「文章について本気出して考えた時間の量」が文章力だ、という主張なので。
「文章について本気出して考えた時間の量」本書では、「文章力」をこのように定義しています。
ということで、はてなブログで思いを言葉にする時間を過ごすことが書けるようになるための第一歩としていいね、というお話しでした。僕もそうだったな。以上、終わり。