先日こんな記事を読んだ。一時期ソシャゲを作り、スマートフォン向けゲームを作っていた身としてはこの方の言うゲーム業界のこともわかるし、マネージャーという立場からもこの方の主張はとても納得のいくものだった。きれいごとだけではなくて今の日本の状況が言語化されていて素晴らしいと感じた。
- 日本の労働環境はホワイト
- 日本はホワイトであるがゆえ、弱体化している
- これからどうする?
ていうのが僕がこの資料から読み取ったハイライト。
僕は事業やプロダクトを作ってきたエンジニアだと自分で認識している。プラットフォームとかより、サービスに圧倒的に近い位置で仕事をしてきた。これからも僕がバリューを出すのはその近辺におけるアウトプットによると思う。
そんな仕事ができているのは、一重にキャリアの初期にベンチャー企業で死ぬほど働いたから。これに尽きる。
大した経験もスキルもない僕は、朝から晩まで仕事しながら学ばせてもらい、その会社でのキャリア終盤でやっとすこし恩返しができた程度の成果は出せたように思う。
ほんとうにありがたい。今振り返ってもあのときのハードワークがなければ今の僕はいない。
働いた時間を自慢するつもりはないし、肯定するつもりはない。
視点を変えると、それはやりがい搾取だったのでは、という方もいるだろう。
でも、僕にとっては必要な時間だった。
最近感じていることの一つにサービスや事業を背負うエンジニアをどう育てるのか、というのがある。言葉を選ばずに言うと、小さな事業やプロダクトを作ったりクローズしながらのハードワークを繰り返すことが最短だと考えている。
が、そんな機会はなかなかないし、ハードワークを求めることも今の日本では歓迎されない。
マネージャーとして、どう支援するといいんだろうか、というのは度々考えることがある。
うまいこと良いプロジェクトを見つけてアサイン調整をする、というのが現実的なところだが、それにしても時間がかかるし、その経験値もやはり少なめなことは否めない。
スライドの中ではTSMCが
- 日本人は働かない、
- だから博士取得者を採用する方針とする、
というニュースが引用されていた。
社会人しながら修士課程、博士課程と進んできた僕としてもここはよくわかる。博士課程を乗り越えてきた人のハードワーク耐性はとんでもないのだから。それは間違いなく組織の強さにつながるだろう。
会社で働くことを人生の目的にすることは違うと思う。でも日本人は、というか同調圧力強めの今の日本の雰囲気(軍隊のような集団行動を求める今の学校教育のままでは仕方ない)を考えると、
- ホワイトな組織
- 学ぶ機会は平等に提供(ただし無理強いしない)
みたいな個人の選択に任せるある意味で残酷な環境がやはり妥協点になりそう。これはスライドでの結論とも重なるんだろうな。
前向きにいうと、"好きこそ物の上手なれだよね"、という捉え方になるだろう。ただここにも闇はあると思っていて、いわゆる"やりがい搾取だ"、ていう話題になりやすいんだと思う。
まあでも、好きなものって正直見つからないのが普通。特に好きでもないけどやってたら、
"そんなに嫌いじゃないな"
なんてことが見つかったら人生ハッピーなんだと思う。
"自分探し"というのが最近の人に伝わるのかわからないけど、そんなもの見つかるわけもなし。見つかることの方が少ないと思ってる。
そういう意味で、日本の詰め込み教育やモーレツに働かせる企業というのは一つの選択肢だと思ってる。スライドの中ではイチローのコメントを引用しているが、元記事では記者の方がうまくイチローの言わんとしていることをまとめていた。
自主性や褒めることを重んじる教育の流れの中で、厳しく指導することのさじ加減の難しさを指摘し、高校生の心中を慮った。
引用:イチロー氏 「指導する側が厳しくできない」時代の流れ 「酷だけれど…自分たちで厳しくするしか」― スポニチ Sponichi Annex 野球
自主性を大事にしたり、褒めることを大切にするのは否定しないけど、厳しくすることも大事なんだよな、と思う。娘の教育のことも考えると悩ましい問題だ。何も結論ないけど色々考えさせられた。終わり。
好きこそ物の上手なれ、という方向にするとそれはやりがい搾取だ、という話になるんだろうな。難しい。
— Masayuki Tanaka / 田中 優之 (@masayuki5160) 2024年12月6日
スライドにあるように、日本はとてもホワイトで、でもホワイトだから強いわけではなかった、という今を認識した上でどうするか。 https://t.co/7wlCD3fnIM