レトロスペクティブについて

本記事ではレトロスペクティブについてまとめます。スクラムでは各スプリントごとにレトロスペクティブを行います。僕自身が現場で行なっていることも踏まえお話ししていきます。

レトロスペクティブとは

まずはレトロスペクティブについてです。スクラム ガイドから引用します。

スプリントレトロスペクティブは、スプリントレビューが終わって、次のスプリントプランニングが始まる前に行う。スプリントが 1 か月の場合、スプリントレトロスペクティブは最大 3 時間である。スプリントの期間が短ければ、スプリントレトロスペクティブの時間も短くすることが多い。スクラムマスターは、 このイベントが確実に開催されるようにする。また、参加者に目的を理解してもらうようにする。

出典:スクラムガイド

正式名称はスプリントレトロスペクティブになります。それでは詳細にみていきましょう、スクラムガイドの内容を見ると下記のようなポイントがあります。

  • スプリントレトロスペクティブは次のスプリントプランニングを行う前に実施する
  • スプリントレトロスペクティブの時間はスプリント期間に応じて変える

それではそれぞれ細かくみてみましょう。

スプリントレトロスペクティブは次のスプリントプランニングを行う前に実施する

スプリントレトロスペクティブはスプリントプランニングの前に行います。前述したようにスプリントレトロスペクティブは振り返りですから次のスプリントを始める前に行い、次のスプリントへその振り返りをした結果を繋げることでよりよくしていくサイクルにしています。チームの経験学習を支援する仕組み、ということですね。

スプリントレトロスペクティブの時間はスプリント期間に応じて変える

わかりにくいかもしれませんが、実は非常にシンプルな話です。スプリントを1ヶ月としてスクラムをしているチームとスプリントを1週間にしているチームでは振り返りにかかる時間が違うからスプリントレトロスペクティブの時間を変えることがおすすめされているわけです。1ヶ月の振り返りをするのと1週間の振り返りをするのではかかる時間が違うのは容易に想像できますよね。シンプルにそういうことだと僕は理解しています。

なぜレトロスペクティブを行うのか

スプリントレトロスペクティブを行う理由は何でしょうか?こちらについてもスクラムガイドにその目的が記載されていますので引用します。

  • 人・関係・プロセス・ツールの観点から今回のスプリントを検査する。
  • うまくいった項目や今後の改善が必要な項目を特定・整理する。
  • スクラムチームの作業の改善実施計画を作成する。

出典:スクラムガイド

非常に明確に述べられていますね。それぞれ細かくみてみましょう。

人・関係・プロセス・ツールの観点から今回のスプリントを検査する

少し硬い文章になっていますね。検査、というと少しわかりにくいかもしれませんが振り返るという言葉で置き換えてみるとわかりやすいかと思います。個人のこと、チームおよびメンバー間の関係(コミュニケーションなど)、開発のプロセス、利用しているツールなどなどの様々なことを振り返るということになります。言葉にすると簡単な気がしますが場をファシリテーションする方はお互いを批判したりすぎることのないよう建設的な場になるようリードする必要があります。意外に難しいものです。

うまくいった項目や今後の改善が必要な項目を特定・整理する

こちらは上述の通り振り返りをしてみて出てきた内容を整理して改善に向けてアクションを整理しましょう、という話です。簡単そうにみえますがこちらも意外にやってみると難しいものです。スプリントレトロスペクティブの時間中に話が盛り上がりすぎて内容の整理ができない、というのはよくあります。整理ができたとしても改善が必要な項目を特定する、例えば優先度付けをするということまで行うことは難しかったりします。スクラムマスターやファシリテーションをしているメンバーの力の見せどころでもあるように思います。

スクラムチームの作業の改善実施計画を作成する

改善に向けて計画を作成する話ですね。課題の整理をし、次のスプリントではこれにトライしましょう、というような議論ができればいいでしょう。課題によってすぐに解決することができるものと、解決するまでしばらくかかるものがあると思います。スプリントレトロスペクティブの時間は限られていますのでうまく整理をしつつ課題の性質ごとにアクションを決めていくといいでしょう

現場でしているレトロスペクティブ

この章では実際に現場でよく行われているKPTを使ったスプリントレトロスペクティブについてお話しします。KPTは振り返りのフレームワークの一つです。Keep(よかったこと、続けるべきこと)、Problem(課題、問題)、Try(次にトライしたいこと)の3項目に分けて振り返りをしていきます。下記はサイボウズで実際にKPTで振り返りをした時の写真です。

出典:【徹底解説】正しい「KPT」が仕事の成果を生み出す!進め方のコツ、現場の事例を紹介

 

K、P、Tとホワイトボードに分けて付箋を貼って振り返りをしているようですね。僕が所属するチームでもKPTで振り返りを毎スプリントしています。例えばこういった流れでKPTを使って振り返りをするといいでしょう。

  1. KPTを参加者それぞれ書き出してもらう
  2. K、P、Tを全員が見れるような形で共有する(ex. 付箋でホワイトボードに整理する)
  3. K、P、Tそれぞれ共有する

非常にシンプルでわかりやすいかと思います。ただ、あくまでKPTは振り返りのフレームワークですのでこれを利用してうまく次のスプリントにトライする項目をチームで決めることが目的です。KPTを用いることで整理はできるようになりますのであとはうまく場をリードできればチームのトライは決まっていくでしょう。

 

それでは本記事はこれで以上です。スプリントレトロスペクティブは非常に奥が深いと僕は思っています。例えばKPTはお手軽で非常にいい方法ではありますが別の方法で振り返りをすることで今まで出てこなかった課題をあぶりだすことができ、新たなトライを導き出すことができることもあります。レトロスペクティブに関しては下記書籍もあり興味のある方はぜひ一読いただくといいでしょう。

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スプリントレトロスペクティブの場をうまく活用することでチームが成長するサイクルをうまく回すことができますね。それでは以上です。スクラムについてより詳細には下記記事でまとめていますので参考になれば幸いです。

 

スクラムとは?